仏教関係者が京都に集う会

無功徳・廓然無聖・不識

 中国が、梁と北魏の二大国に分かれていた時代のことです。梁の武帝は、ある日、達磨大師に会うことになりました。
武帝が「私は、仏教興隆の為にたくさんのことをしてきた。どんな功徳があるか」と訊くと、達磨大師は「無功徳」と答えました。
納得のいかない武帝が、次に、「聖諦第一義(仏教で一番大切なもの)とは何か」と質問すると、
達磨大師は「廓然無聖(からっとしてわだかまりがなく一番大切なものなどな無い)」と答えました。武帝はカチンと来たのでしょうか?
続けて「朕に対する者は誰か(お前は誰だ)」と訊きますと、達磨は「不識(知らん)」と答えたそうです。
達磨大師の言った「無功徳」とは、「世俗の価値判断にとらわれることなく、見返りを求めずに仏道に励む王こそ、真の王である」ということを覚ってもらうための一語だったのです。
上杉謙信は、本当の「聖諦第一義」を目指して自国を治め、自らは「不識庵」という庵号を名乗りました。
天下を取らないうちに亡くなってしまったのは、残念というほかありません。
「無功徳」「廓然無聖」「不識」等の禅語は、掛け軸などでよく見かけますが、単に語句の意味だけでなく、梁の武帝と達磨大師の会話場面を思い描き、達磨大師がその言葉に込めた意味を慮り、日々の生活に活かしていきたいものです。

文:鈴木顕道
絵:藤野正観

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