■TOP ■道元禅師は京都生まれ ■花祭 ■悲しい事件 ■高齢化社会 ■宗教情操
■願いを持ってこの世に・・・ ■仏道と平和

京都新聞夕刊2,004年(平成16年)2月21日土曜日 十字路より

仏道と平和
山路純正

 日本の多くの宗教教団は、イラク戦争に反対の声をあげました。
伝統的な仏教教団も反対しました。
私ども曹洞宗も自衛隊のイラク派遣の動きに際して「世界平和を願う曹洞宗の祈りと近い「過ちは繰り返しません」を有田恵宗宗務総長が発表し、今日における宗門の社会姿勢を内外に明らかにいたしました。
もとよりそれは、昨年「世界平和を求める曹洞宗の祈り」を実践した宗門にとっては、当然の帰結であったといえます。

 「戦争の罪責はもともと平和の罪責である。戦争の罪責は戦争の勃発と同時に生起したのではない。
それは、平和のなかでの平和に対する罪責である。(中略)往生浄土の因は平生の日々に生起し成就する、平和の時代における平和と自由にたいする罪責の『平生業成』のつみかさねであり爆発である」 (市川白夜『仏教者の戦争責任』)という先人の声を忘れることはできないでしょう。

 友人の一人は毎年、お盆の行事の最後にお勤めする戦没者供養の後、「この過去帳に一人たりとも付け加えることのない社会の実現を待望する」と語ることが自分のつとめだと話してくれました。
またある友人は、縁あって原爆の残り火を分け受け、その火を絶やすことなく守り続け、毎朝のお勤めに、御真前の灯明にその火を受けて勤行するのを日課としています。
こうした友人たちの日々の営みは、平和と自由を脅かす罪責への絶えざる自覚を呼び覚ます営みなのです。
 いま私たち仏教者にとって大切なことは、平和の希求こそ仏道であるという日々の自覚であると思うのです。そして、平和への活動が仏道であるという自覚を、私たちの日々の法務において、不断につとめるべきです。それは私たちの平生業成であるからです。
仏道の実践を推進し、仏教者である私たちの営みをつなげ、争いのやまない世界に仏道による平和のネットワークを広げたいと思います。

慶昌院住職:やまじ・じゅんしょう氏
1948年京都府生まれ。
駒沢大卒。
元曹洞宗近畿管区教化センター主監、
曹洞宗宗議会議員。