仏教関係者が京都に集う会

平成12年(2000年)9月例会報告

メンバースピーチ 屋根惣 杉本 惣兵衛(すぎもとそうべい) 会員 『植物屋根について』

開催日:2000年9月8日(秋彼岸会)
 
ことのほか暑さ厳しい夏もようやく終わりを告げ、文字どおり「暑さ寒さも彼岸まで」の好季節となりました。第七回「三宝の集い」は東山・高台寺門前のギ ャラリー・圓夢を会場に、11月16日から23日の8日間と決定、急ピッチで準備中です。
 
彼岸例会はメンバースピーチです。
屋根惣の杉本 惣兵衛会員の担当です。 文化財保存の長年の経験から貴重なお話が伺えることと思います。

植物屋根について

壇場でスピーチされる 杉本 惣兵衛 氏

壇場でスピーチされる 杉本 惣兵衛 氏

[jbox title=” 杉本惣兵衛 (すぎもとそうべい)”]昭和7年京都生まれ。
「お寺と付き合っていくんやから」と臨済学院(現花園高校)に学びながら、家業に携わる。
昭和52年、先代より家業継承。
自ら現役で活躍するとともに、若い技術者の成長を温かく見守る。
全国の同業者とネットワークを結び、駆け回る。[/jbox]

会場、演壇横に用意されたテレビモニターにて、文化財保護の立場で製作されたビデオ2本(1、檜皮葺・2、柿葺)を約40分にわたって鑑賞した。
リアルに北野天満宮や妙心寺の大屋根の出来上がる様子や我々の知らない屋根葺き職人の真骨頂を見ることができた。見終わった後、会員から感動の拍手があった。

sugimoto-1 sugimoto-2

sugimoto-3 igarashi
ビデオ画面の一部と、各テーブルに置かれた檜皮や柿(こけら)を手にとる五十嵐隆明会長:右下

以下、その内容の一部を紹介します。

檜皮(ひわだ)葺きについて

檜(ひのき)の樹皮、すなわち檜皮を葺き材料とした屋根方法。
優美な外観となりますが、同じ植物性材料ではあっても茅(かや)や藁(わら)に比べて高価があるので、宮殿、神社、仏寺などに広く用いられている。

檜皮葺きは20~30年周期で葺き替えが行われるが、全国の檜皮葺建造物を葺き替えるとなると、約14000本の檜が必要となります。
しかし、樹齢70~80年以上の檜が減少しているのに加え、檜皮を採取する“原皮師”(もとかわし)を継承する人が少なく、材料不足の問題が起こっています。そのために文化財建造物の保存修理がとどまるおそれがあります

作業工程の説明

b-1原皮師(もとかわし)が
檜皮を採取する
(檜ヒノキの樹皮をはぎ取る)。
 
“原皮師”の募集をしています。
075-463-7034
杉本惣兵衛さんまで、ご連絡下さい。
 
b-2 
 
 
檜皮を適当な大きさに切りそろえる。
 
 
 
 
b-3 
 
垂木の上に直交する方向に
一定間隔で桟を打ち、
その桟に釘や縄を使って止めていく
 
 
 
b-4 
檜皮を1,2センチの間隔で
ずらして重ねていく。
(5枚ごとに竹釘で打ちしめていく)
その総厚が30センチに及ぶことも。
(ちなみに檜皮一枚の厚さは2ミリ程度)
 
 
b-5 
 
棟は普通の瓦葺きと同じで棟瓦、
のし瓦、鬼板を使って収めることが多い。
 
 
 
 

著名な建造物

京都御所の紫辰殿(ししんでん)、清涼殿などの主要殿舎となり、同じ御所内でも付属屋は瓦葺きが多用されいる。
これは、貴族の住居には中国風の瓦を避け、植物性材料を用いる古代以来の風習によるものと思われる。
また仏寺では、吉野山蔵王堂が檜皮屋根をもつ最大の建造物である。

杉本 惣兵衛氏からメッセージ

重要文化財ともなっている檜皮葺建造物の修復には、材料の檜皮が欠かせません。
ところがそれを採取する人が不足し、文化財保存を担う者にとって最大の悩みとなっています。
我こそは!と思う方、少しでもご興味のある方、もっと詳しく知りたい方、是非一度、私までご連絡ください。学歴は問いません。
自然相手ゆえ、決して楽な仕事とは言えませんが、これからの時代、手に職をもっていることは力強いですよ。
日本の文化財を救うために立ち上がってくださる方、お待ちしています。

原皮師(もとかわし)

檜皮葺きの材料となる檜皮を採取する人。
採取時期は、木の水分が下がり皮をはぎやすくなる9月から3月の間。
年々原皮師は高齢化し、後継者不足となっている。しかし今や、文化財(檜皮葺建造物)修復の将来を考えるとなくてはならない人になっている。

この後、家田事務局長より、三宝の集いの打ち合わせ計画などが報告され、会員全員の協力で、成功させるように訴えられた。
一ヶ月ぶりの会長の挨拶は、私(藤野)が遅れて行った為、取材できませんでした。
また、会員の中村氏よりお知らせがあり、9月30日より11月5日まで、京の匠(たくみ)展を開催するので、観に来て欲しいとのことだった。
会員には、招待状やポスターが配られていたが、仏教クラブの会員の中からも、今日の講師の杉本氏をはじめ、7名も参加されているそうだ。
 
写真・構成・文:Shokan Fujino

PAGETOP
Copyright © 仏教クラブ All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.
Top