仏教関係者が京都に集う会

平成14年(2002年)12月例会報告

ゲストスピーチ:社団法人全国国宝重要文化財所有者連盟
———————-事務局長 後藤佐雅夫先生

開催日:2002年12月13日 (成道会) 例会

第九回「三宝の集い」は、厳しい状況の中まずまずの成績で幕を閉じることができました。皆様方のご協力に感謝申し上げます。それに先立っての家族例会では、牧先生、塩竃先生のご高配で、総本山知恩院さまの、国宝・重文をじっくりと鑑賞させていただきました。ありがたいご縁に感謝、合掌。
一息つくまもなく、成道会例会のご案内となりました。
お釈迦さまの成道を、会員揃ってお祝いいたしましょう。
今回はゲストスピーチ、社団法人全国国宝重要文化財所有者連盟、事務局長の後藤佐雅矢先生のお話を伺います。

沢田副会長の開会の挨拶

先月の家族例会でお世話になった知恩院の牧会員、塩竃両会員に礼を述べた後、三宝の集いが無事に終わり、なんとか目標額まで達した事を報告。役員ならびに会員に礼を述べられたあと、ゲストスピーカーの後藤氏を紹介された。

文化財の保存会の活動について

社)全国国宝重要文化財所有者連盟事務局長 後藤佐雅夫氏のおはなし
事務局:605-0062:京都市東山区林下町400 知恩院山内源光院内   075-525-0539

gotoh曹洞宗の僧でもある後藤氏は、滋賀県の教育委員会に長らく席をおき、文化財の保存のお仕事をされて来られました。その後京都に帰り文化財保存活動一筋に40年に渡り勤めてこられた方だそうです。
またお父様は、昭和の金閣寺再建時の監督技師(故人)だそうです。

この全国国宝重要文化財所有者連盟の主な仕事として、寺院の文化財保存や修理関係の相談の受け付けや研修会の企画などがあり、仏教クラブ会員にも利用してもらうように促された。
こういった伝統的文化財の保存を促進する会は京都・奈良・滋賀と 和歌山県 ぐらいしかなく、他府県においては自治体単位で意思決定でききる修復保存の機関がないことも報告。
保存に要する費用やその税制など見直さなければならない点が山積みだが、京都には、奥田、谷垣両氏の国会議員がおいでになり、顧問なども勤めていただいており、その点は、おかげさまで心強く思っているとも話された。

課せられたテーマとして、文化財を生業とする人々の体系化と文化庁、文化審議会などとの連携が望まれる。
また、その方向で推進されているとか――。
連盟に関わりのある団体を、お配りになったプリントを参考に、紹介をされた。
以下、そのプリント内容

財団法人:文化財建造物保存技術協会

理事長  関口欣也  113-0033:東京都文京区本郷1丁目28-10 三本郷TKビル内 03-5800-3391

財団法人文化財建造物保存技術協会(昭和46年6月21日設立)
(目的)
当協会は文化庁の指導の下に、これまでの文化財建造物の修理に従事していた個々の技術者を協会所属職員として組織し、その身分の安全と文化財建造物保存修理事業の組織的実施を図るとともに後継技術者の養成確保や文化財建造物の歴史的技法、保存技術に関する調査研究、資料の作成、公表等を行う。
(事業)
①文化財建造物の保存修理に係る調査、設計、施工監理業務
②史跡、名勝等の復元整備に係る調査、設計、施工監理業務
③文化財建造物保存修理技術者の育成・確保及び研修の実施
④文化財建造物の歴史的技法及び保存技術に関する調査研究並びに資料の作成公表
⑤文化財修復事業に係る国際技術協力

社団法人:三全国社寺等屋根工事技術保存会

会長 田中敬二    500-8483:岐阜市加納東丸町2丁目20 三田中社寺㈱内  058-271-2645

社団法人全国社寺等塵板工事技術保存会(昭和54年12月18日設立)
(目的)この法人は組織的な活動運営により、文化財である社寺等屋根工事の伝統的技術の保存と、その研究向上を図るとともに、社寺等屋根工事技能者の養成研修及び文化財修理用資材の確保等を行い、もって我が国の文化財の保護事業に寄与することを目的とする。
(事業)
①社寺等屋根工事の伝統的技術の保存とその研究向上
②社寺等屋根工事の技能者の養成研修
③文化財修理用屋根葺資材の確保
④社寺等屋根工事の伝統的技術に関する研修会の開催
⑤会報及び社寺等伝統的技術に関する調査研究資料の発行

日本鬼師の会

会長 山田備二    620-0301:京都府加佐郡大江町字河苧285 大江町役場内 0773-56-1101

日本鬼師の会(平成3年2月10日設立)
(目的)
この会は、日本古来の伝統的鬼瓦の製作技術の保持と技術の向上を図り、後継者の養成と併せ、今後の鬼瓦の発展と会員の経済的・社会的地位の向上並びに会員相互の親睦を図ることを目的とする。
(事業)
①親睦会並びに各地見学会の開催
②技術の研鋒を深める講習会の開催
③鬼瓦に関する資料の収集及び調査研究
④鬼瓦並びに屋根併瓦の普及宣伝
⑤鬼の里京都大江町の鬼瓦資料蒐集支援

日本伝統瓦技術保存会

会長 山本清一    630-0251:三奈良県生駒市谷田町362 山本瓦工業㈱内   0743-73-2520

日本伝統瓦技術保存会(平成3年3月31日設立
(目的)
本会は、日本古来の伝統的瓦製造及び葺上技術の保存と向上を図るとともに、後継者の養成に努め、文化財建造物の保存事業の推進に寄与することを目的とする。
(事業)
①伝統技術の保存及び研鋒を深める研修会・講習会の開催
②後継者育成の研究会の開催
③伝統技術に関する資料蒐集及び調査研究
④会報及び伝統技術に関する資料の刊行

甍技塾

塾長 徳舛敏成  616-8373: 京都市右京区嵯峨天竜寺車道町10 075-861-0314

茸技塾(昭和51年4月3日設立)
(目的)
瓦葺技術・技能の修得を目的とする。
(方法)
①1年目一作業順序、段取り、安全作業等を修得
②2年目一瓦葺師の手元として、各種技法の修得
③3年目一民家の瓦の葺き方等の修得
④4年目一寺院建築の瓦の葺き方等の修得
⑤5年目以降一希望により特殊技能を修得

全国文化財壁技術保存会

会長 奥井五十吉    6008-242:京都市下京区猪熊通塩小路上ル上三夷町165  075-371-6767  左官工業田代千治店内

全国文化財壁技術保存会(平成5年4月22日設立)
(目的)
日本古来の左官技術の保存と向上のため、工法・資材の研究開発、後継者の育成に努める。
(事業)
①文化財左官技術の伝承のための研修会・見学会・講演会の開催
②文化財左官工事の技能者の養成研
③文化財左官工事のための資材の確保
④会報の発行
⑤文化財左官工事技術に関する各種調査研修及び報告書の発行

財団法人:日光社寺文化財保存会

理事長 稲葉久雄    321-1431:栃木県日光市山内2281     0288-54-0186

財団法人日光社寺文化財保存会(昭和45年12月7日設立)
(目的)
日光二荒山神社、泉照宮、輪王寺(以下「日光二社一寺」という)の国宝及び重要文化財建造物の保存修理及び調査研究を行うとともに、防火設備を整備し、日光二社一寺文化財建造物の保存と活用を図り、国民の文化的向上に寄与する。
(事業)
①日光二社一寺文化財建造物保存修理事業
②日光二社一寺文化財建造物等の防火設備の整備事業
③文化財建造物の漆塗、彩色、金具工事等に関する調査研究及びその成果の刊行

国宝修理装潢師連盟

理事長 岡 岩太郎   600-8349:京都市下京区西中筋通花屋町下ル 三堺町98 ㈱宇佐美松鶴堂内 075-371-1593

国宝修理装潢師連盟(昭和34年3月1日設立)
(目的)本連盟は、連盟員相互の装演技術の向上ならびに、それらに附帯する事業等を行うことを目的とする。
(事業)
①研究会・技術講習会・見学会
②国内外の関係機関との交流及び協力
③技術開発、修復資材の開発、改良
④修復材料関係における文化財選定保存技術保持者育成のための協力
⑤資財の共同購入、共同備品の整備
⑥後継者の育成(外国人も含む)

社寺建造物美術協議会

会長 小西陳雄    321-1431:栃木県日光市山内2365 ㈱小西美術工蛮社内    0288-54-1198

社寺建造物美術協議会(平成2年10月26日設立)
(目的)
本会は、3部会の業者の協力のもと後継者の育成、伝統技術の保存と伝承、技術の向上と研究、適切な工事費の検討を通じ、文化財建造物保存事業の堆進に寄与することを目的とする。(3部会一金工部会・彩色部会・漆部会)
(事業)
①技術の研鋒を深め会員相互の親睦を計るため現場実地研修と総会の開健
②後継者育成の研修会の開催
③材料確保、工賃、経費の分析による標準単価表見積積算資料の作成
④会報すいかずらの刊行

日本うるし掻き技術保存会

会長 岩舘正二    028-6805:岩手県二戸郡浄法寺町大字浄法寺字下前田42 浄法寺教育委員会内  0195-38-2822

日本うるし掻き技術保存会(平成8年1月9日設立)
(目的)
本会は、うるし掻き技術の保存と振興に努めることを目的とする。
(事業)
①うるし掻き技術の保存と振興のための調査及び研究
②伝統技術継承のための後縦者育成と技術の練磨。

全日本畳組合連合会

理事長 月川昌七  101-0021;東京都千代田区外神田5-6-7 片柳ビル2F  03-3836-3989

全日本畳組合連合会(昭和48年10月設立)
(目的)
本会は、畳業界の進歩改善発達を図るため、必要な事業を行い、会員及びその組合の公正な経済活動の機会を確保し、経営の安定と合理化を図ると共に、業界の発展に寄与することを目的とする。
(事業)
①経営及び技術に関する指導ならびに調査、研究
②諸材料、機械等の調査、研究
③試作、試験および証明
④技術向上のための施策(職業訓練、技能検定等の研究)
⑤関係官庁等への建議および具申
⑥関係諸団体との連絡提携
⑦情報の交換、資料の収集ならびに提供
⑧品質管理事業

財団法人:京都伝統建築技術協会

理事長 中村昌生     606-0805:京都市左京区下鴨森本町15 (財)生産開発科学研究所内   075-711-2006

財団法人末林伝統建築技術協会(昭和55年4月設立)
(目的)
この法人は、京都府内における伝統的な大工技術を母体として、伝統的和風建築技術の保存及びその向上を図り、もって地域の文化財の保全に資するとともに、わが国の建築文化の発展に寄与することを目的とする。
(事業)
①伝統建築技術の調査・研究
②工法・工作技術及び設計法の研究・指導
③伝統建築技術の後維者の養成
④機関誌等の刊行「普請」「月報」
⑤講演会・講習会・見学会・施工等
⑧伝統的建築技術の海外協力

財団法人:建築研究協会

理事長 川上 貢    606-8203:京都市左京区関田町43     075-761-5355

財団法人建築研究協会(昭和30年1月8日設立)
(目的)
この法人は、建築技術に関する研究調査を行い、あわせて建築技術の研究を助成し、その発展を図り、もって建築文化の向上発展に寄与することを目的とする。
(事業)
①京都大学工学部建築学教室の研究助成
②建築技術に関する調査及び研究並びにそれらの受託又は委託
③建築技術に関する研究の助成
④建築技術に関する文献の刊行
⑤文化財(国及び地方公共団体指定)建造物の保存修理に係る調査、設計、施工監理業務
⑥社寺建築の修理、新築に係る研究調査、設計、施工監理業務。

日本伝統建築技術保存会

会長 西澤政男   522- 0004:滋賀県彦根市鳥居本町1980-2 ㈱西澤工務店内 0749-26-4767

日本伝統建築技術保存会(平成12年12月2日設立)
(目的)
本会は、日本古来の伝統的木造建築技術の保存・継承と向上を図るとともに、後継者の育成に努め、文化財建造物の保存事業の推進に寄与することを目的とする。
(事業)
①伝統大工棟梁技術の保存及び向上を計るため、文化財木工技術保存会と協調して研究会及び各種講習会の開催
②後純者育成のための研修会の開催や、文化財木工技能者研修会への研修希望者の推薦等
③伝統技術に関する資料の収集及び調査研究
④会報及び伝統技術に関する資料の刊行

社団法人:全国国宝重要文化財所有者連盟

理事長 松滴國男    605-0062:京都市東山区林下町400 知恩院山内源光院内   075-525-0539

社団法人全国国宝重要文化財所有者蓬盟(平成4年5月27日設立)
(目的)
この法人は、国宝重要文化財の所有者等が一致団結して文化財の保存と活用に係る各種の事業を堆進し、もって、わが国の文化の発展に寄与することを目的とする。
(事業)
①文化財の保護に関する調査研究
②文化財の保護に関する講演会・研修会・見学会等の開催及び書籍、パンフレット等の製作
③文化財の修理・防災・維持管理等の事業に対する援助と協力
④文化財の修理技術の伝承及び資材の確保に対する助成と協力
⑤この法人の活動目的に関して、優れた業績を有する個人又は団体に対する表彰(参会報の刊行)
紹介の後、各分野の実情やエピソードを交え、技術の伝承や文化の継承に危惧を感じるが、これらに歯止めがないか考えて行きたいと締めくくられた。

筆者は講演の後、たまたまトイレでご一緒だった氏にお尋ねした、「歯止めとは何か良いお考えでもあるのですか?」氏は、即座に「伝統建築の場合でいうなら、設計の段階で国もしくは自治体が検閲審査をし、伝統的技術の継承ができるような、「守る」という積極的な姿勢で認可をすることが必要ではと考えています。」というような意味のことを語られた。講演の中では語られなかったのはどういう理由があるのか分からないが、筆者は、まったく同感である。
「守ろうとする意思」それが国家自体に必要ではないのだろうか――。

※参考資料
■木の話いろいろ

■京都新聞2001.11.21 Newsの記事より

伝統の畳技術 継承ピンチ。全国調査 8割が50、60代
全国国宝重要文化財所有者連盟(事務局・京都市)はこのほど、社寺などで使われている伝統的な畳の生産に関する全国アンケート調査を実施し、結果をまとめた。畳表生産技術者の八割を五十-六十代が占めるなど、高齢化による後継者不足の深刻さが浮き彫りとなった。
同連盟は屋根に使う檜皮(ひわだ)など文化財修理資材に関する調査を毎年実施している。今回は輸入品に押され国内生産が減っている畳を調べた。
アンケートは、畳床、イグサ、畳表の生産組合や担当の行政などに対して、昨年四月から一年間かけて実施した。
畳床生産では、秋田県など三県の組合から回答があり、技術者の八割が四十歳以上で高齢化が深刻になっていた。イグサ生産でも、回答のあった八県のうち岡山県など六県で三十代以下の従事者がなく、「三十代以下がいる」と回答した熊本県でも「後継者がいる」と答えた農家は四分の一だけだった。
畳表生産では、調査した五県の生産組合で五十代と六十代の技術者が八割を占めた。回答があった四県の担当課のすべてが、高齢化や輸入品との競争を理由に「増産計画はない」と答えた。
自由回答をみると、輸入制限だけでなく、助成金や、消費地との取引などでの行政の支援を求める意見が多かった。「化学製品の畳ボードを野焼きするのは環境にとって問題がある。伝統的な稲わら床にエコマークをつけてほしい」などの指摘もあった。調査をまとめた後藤佐雅夫事務局長は「今後、技術者の確保がいっそう難しくなり、文化財の保護にも影響が出る恐れがある。さらに調査を進め、現状の深刻さを訴えたい」と話している。

講演後、塩竃会員の発声で乾杯。
家田事務局長から会場の皆に、会員の屋根惣:杉本氏が 勲六等単光旭日章 を受勲されたことを報告。会場は祝福の拍手で埋まった。

写真・構成・文:Shokan Fujimo

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