仏教関係者が京都に集う会

平成17年(2005年)12月例会報告

ゲストスピーチ:山田松香木店社長 山田英夫さん

12月 (成道会)例会

第12回三宝の集いは、皆様のご協力により無事に終了することができました。どうやら昨年以上の成績を上げることができたようです。感謝申し上げます。
いよいよ今年最後の例会となりました。「寺門興隆」という雑誌に「伽羅沈香の危機」という記事が載っていました。これは一大事というわけで、その記事中で事情を説明されていた山田英夫さんにスピーチをお願いいたしました。そのあたりのことを詳しくお尋ねしたいと思います。

沢田教英副会長

沢田教英副会長

もう師走ということで、冷たいみぞれが降るやら痛ましい事件が相次ぐやらで、まぁ、何やら心寒いそして心せわしい今日この頃です。
皆さんお忙しい中、こしてたくさんお集まりくださいまして有難うございます。
また、先日は「三宝の集い」で皆さんのご協力を得ながら、良い成績をあげたという事でございますが、ほんとうに有難うございました。

さて、今日は我々に最も関わりの大きいお香のお話を、山田松香木店の社長さんにお話いただけるそうで楽しみにしております。それでは、山田さんお願いいたします。

最近の香木事情

ゲストスピーチ:山田松香木店社長 山田英夫さん

PICT0079 (1)こういった場所で、お話をする機械は結構あり、慣れてはいるのですが、今日は「釈迦に説法」的なことになるのではないか、また、同業種の「松栄堂」さんもお出でになることでもあり、私は現場の実務的なお話や香木の流通のことについて少しお話しをさせて頂こうと思います。
と、ご挨拶、続いて自己紹介に入られた。

昭和23年生まれの一番人口の多い団塊の世代に属し高校までは地元京都で過ごし、大学は東京に行き、ゆっくり遊ばせて貰い、就職。その後、昭和48年に京都へ帰って、家業の香木店に戻り、かれこれ30年あまりになります。
最近「熟年離婚」と言う奇妙なドラマが放映されておりますが、実はまさに私たちの世代のことで、私としましては、いつでも覚悟ができていると会場を笑わせた。

お持ちいただいた原木を手に、説明される山田氏 

お持ちいただいた原木を手に、説明される山田氏 

趣味は音楽全般が好きで、なかでもジャズ系が好きとのこと。また定年後の夢として、学生時代にヨット部に所属していたこともあり、船を買って南太平洋で過ごそうかと、実際に船の免許も取得して、何時でもいける状態であるとのこと。しかし、家内が一緒に行くのは嫌だと言っておりますので、熟年離婚をしてから行こうと思っております。とまた場内を笑わせた。
実に羨ましいお話である。
新入会員としての入会挨拶も兼ねられたのか、次に今回のテーマ本題に入られた。

お香のことは、氏の経営される「山田松香木店」のサイトに詳しく掲載されているので、そのサイトをごらん頂くことにし、香木そのもについてのお話を以下にまとめたいと思います。

香木の種類

伽羅(キャラ)、沈香(ジンコウ)

伽羅・沈香は、原木の一部に樹脂が溜まった部分であり、熟成には数十年~数百年を要します。

主産地はベトナム・インドネシア・ラオス・カンボジア・タイ・ミャンマー・東インドアッサム地方などですが、伽羅の良品はベトナム安南山脈南部に限られます。
各産地により香りは異なりますが、伽羅の場合は、更に外見・硬度等により、緑油・紫油・黄油・白油・黒油などに分ける場合もあります。原木はジンチョウゲ科アキラリア属の喬木。径1m近くになるが、ボルネオ等では更に太くなる。

白檀(ビャクダン)

白檀樹の芯材を乾燥したもの。精油を多く含む。原産地はインドネシアのチモールだが、インド産が良質。
インドでは広範に植林しているが、半寄生植物のため、効率が悪く、需要増と共に絶対量は不足している。
現状は輸出規制があり、50グラム以下のチップしか輸入出来ない。需給関係は年々悪化しており、価格は高騰している。

広義の香木

樹木から採れる香料、丁字・桂皮・八角・龍脳などを、広義に香木とよぶことがある。
余談だが、八角には鳥インフルエンザの特効成分タミフルが含まれており、需要が増大している。

究極の香木 伽羅

沈香は、水につけると沈むので、この名がついた。沈水香ともよびます。
一般的に、インドシナ半島産は香りの甘さに特徴があり、シャム沈香と総称されています。一方、インドネシア産は香りの苦さに特徴があり、ジャワ沈香或いはタニ沈香と総称されます。
又、沈香系香木を、産地や香りの性質により、伽羅・羅国・真南蛮・真那賀・寸門多羅・佐曾羅の六種にわけ、六国と称す場合もあります。何れにしても、最も上質な香木沈香が伽羅であり、ベトナムの限られた地域でしか産出せず、しかも極めて少量。

・常温でも清やかな香りを発し、、焚くと濃厚な他に例えようの無い独特の香り。
樹脂の溜まる原因は、枝が折れたりした原木の損傷部に、防腐的に樹脂が溜まる。しかも、他の樹脂と違い、樹外 に滲出するのではなく、樹内に蓄積されていくのです。
樹脂が十分溜まり、そして木が枯れ、倒木となり、地中で朽ちるまで待つと、良質の沈香になるのですが、早期に採取してしまったものは中級以下です。

沈香の消費国上位3

1、アラブ諸国     オイルマネーで裕福になったアラブ諸国では、香油の原料や祭壇用に沈香が大量に消費されている。又、香木の板を壁に張りインテリア素材とすることも。
2、日本 日本では、古来より、香り文化の主体となってきた。
3、台湾 近年、台湾での消費は飛躍的に増加している。

今後の沈香の採取

沈香の原木は絶滅した訳ではなく、未だ残っています。しかし、樹脂が溜まっている木は少なく、採取量の減少や質の低下は今後長期にわたります。
香木資源回復の一環として、沈香の植樹がありますが、樹脂が熟成するには、偶発的要素と長年月を要し、簡単ではありません。

仏教クラブの皆さんに、香木植樹権利獲得の薦めとお願い。

沈香資源の枯渇は、香り文化の衰退につながります。
私共は、資源回復の為、ベトナム・インドネシアで沈香樹を植林し、困難ではありますが、バイオ技術での早期熟成の研究を進めています。
仏教クラブでは、以前、沈香の植林をされたようですが、今度は個人的な投資は如何ですか。1ヘクタール約10万円の投資で沈香の育成・収穫権利が手に入ります。
収穫は確実ではありませんが、将来の騰貴を視野に入れ、遊び心でやれば楽しいかも・・・。

■蘭奢待(らんじゃたい)

香木の一種。正式名称は黄熟香(おうじゅくこう)で、蘭奢待とはその中に東大寺の名を隠した雅名である。長さ156cm、重さ11.6kgの錐形の香の原木。
東南アジアで産出される沈香と呼ばれる高級香木で、日本には9世紀頃に伝えられたとされる。奈良市の正倉院(元は東大寺の倉庫であったが明治以降は国が管理)に収められており、これまで足利義満、足利義教、足利義政、織田信長、明治天皇らが切り取っている。
当クラブ会員の善峯寺がその一部を所有している。善峯寺・寺宝館文珠堂収蔵リスト
PICT0072伽羅の原木二種
 
樹内に樹脂がある状態を示したもので、左側の白い部分が地中の朽木から採取したもの。
この表面を削り取ると、右側のように樹脂部分が出てきて黒くなる。
 
※この二つは、立てかけてあるだけで同木。

PICT0073伽羅の樹脂部分
 
原木の表面から内部に樹脂が溜まった状態。たいへん高価なものだそうで、金以上の価値があるそうです。

PICT0074 (1)伽羅原木の標本
 
ジンチョウゲ科アキラリア属アガローカ

PICT0075立派に蒔絵の施された香箪笥
 
中には、勅銘香などの名香や香割道具が入っている。

PICT0085前・事務局員の千野さんに会員から感謝の花束が贈呈され、「本日は、お招きいただき有難うございます。当初、右も左も分からない未熟な私が、このクラブのことも何もわからないままお手伝いをさせていただくことになり、皆さんのご協力とご指導のおかげでなんとかお役に立つことができました。また、一人の「人間」としても勉強させていただいたことに感謝し、また次の場所でもこれを生かし頑張りたい。」と会員にお別れの挨拶をされた。

千野さん、長い間、一人でクラブのお世話ありがとう!
言いたいことを言う会員も、優しい会員もいろいろ居た事と思いますが、このことを人生の経験として、肥やしにして下さい。お幸せに!!
 
山田松香木店
 

写真・構成・文:Shokan Fujimo

PAGETOP
Copyright © 仏教クラブ All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.
Top