仏教関係者が京都に集う会

仏教クラブ奨学金授与者(2016年)

2016年度 仏教クラブ奨学生 

今年度の授与者は、以下の各氏に決まりました。

2016年12月9日の授与式の様子。

2016年度 奨学生のご紹介

大谷大学:グェン トゥン ザーン

○申請者名  NGUYEN TUONG GIANG
グェン・トゥン・ザーン

国籍  ベトナム

・年齢:?歳

所属先
大谷大学大学院文学研究科修士課程仏教学専攻 第一学年

推薦理由および推薦者(所属・氏名)
無記入

推薦人:大谷大学

現在の研究・勉学の内容および目的
ベトナムでは、僧侶が仏教学を勉強する目的が二つあります。一つは正しく修行を実践するため、二つは仏法の命脈を続き、仏教を保ち、仏教の伝承または仏教の教育という事業をするためです。私が仏教研究を志すのも、この二つの理由からです。
実践的な仏教と仏教教育に関心をもっている私は、大谷大学で学部を過ごし、修士課程へ仏教学を深めるために進学しました。卒業論文を作成した時、中国天台仏教の開祖である智者大師(538-597)が著述した『天台小止観』の止観思想について研究しました。そのため、今までも天台止観の思想を続けて研究したいと思っています。天台止観の思想とは、仏教の実践修行の方法の一つで、実践修行者にとって最も重要な修行方法であると思います。初期の天台思想において智者大師は『釈禅波羅蜜次第法門』(禅)について講説しましたが、後期の天台思想では、智者大師は『摩訶止観』を説かれました。「禅」の思想から「止観」の思想への展開はどのような過程なのか、天台の初期と後期の思想の相違は何であるか、ということを課題として研究していきます。この課題を解決するため、『釈禅波羅蜜次第法門』と『摩訶止観』をテキストとして、比較して問題を明らかにしていきたいと思っています。

将来の抱負
菩薩行の思想を学んでいる大乗仏教の僧侶である私は、常に自利と利他の精神によって生きたいと思っています。まず、自分で仏教教義を深く身につけながら、その教理を自分自身で安楽を感じられる体験ができるように実践していきたいと考えています。そのため、博士後期課程の修了まで、一所懸命努力していきます。そして留学した日本で勉強または体験したことを持ち、母国に戻って仏教教育に尽力したいと思います。また日本とベトナム両国の仏教交流と文化交流の面でも貢献したいと願っています。それが私の将来の願いです。

奨学金を必要とする理由
私費留学している私は、学費と生活費のほとんどをベトナムから援助していただいて過ごしてきました。毎月、仕送り金額は生活に必要なギリギリの額です。修士課程の研究を進めるには、必要な本の購入や資料の収集のための研究費が学部より多くかかります。一方仏教では、僧侶が自ら財産を持つことは許されないため、個人や団体などに頼らざるを得ません。研究を進めて、学業を完成するため、仏教クラブの奨学金に申請致します。どうか宜しくお願い申し上げます。

花園大学:林 芬妙

花園大学:林 芬妙

■ 申請者名  林 芬妙

国 籍:台湾

・年齢: ?

所属   花園大学大学院 仏教学専攻

推薦理由および推薦者
未記入

推薦人:花園大学

現在の研究・勉学の内容および目的
私の研究テーマは「契嵩禅師の『孝論』の研究」である。契嵩禅師(1007―1072)は中国北宋時代の禅僧である。雲門宗の雲門文偃禅師(864―949)から第四代に当たる洞山暁聡(?―1030)の法嗣である。彼の著述である『孝論』は、中国仏教において孝道を宣揚した重要な著作である。契嵩禅師は儒仏の融合を計かるため『輔教編』を著したが、この中に『孝論』は含まれている。
又契嵩は、『孝論』を著したが、その孝の取り扱い方は、およそ十二章に分け、そのなかで、釈尊の説いた孝行についての奥深い道理と隠れた意味とを発見し、儒教の見解から極端に離れてはいない。それを読者に知らせようとしている。仏教は、自分たちとは形を異にするものの、儒教と同様に孝順であることを立証しようと努めた。その教説は儒仏の調和であって、後世に多くの影響を与えた。研究に十分値すると考え、論文のテーマとすることにした次第である。
本研究では契嵩禅師について、様々な文献資料を参考として、及び研究論述によって、著作の『孝論』を中心として、『孝論』の特徴を分析した上で、「援仏入儒」であるのか、或は「援儒入仏」であるのか、或は「援仏入儒」であると同時に「援儒入仏」であるのか。ひとつの課題として考察したい。

将来の抱負
私は将来において、博士課程へ進学し専門研究者となることを志しています。仏教、禅に関わる幅広い研究領域を様々な角度から発展的に学んで行きたいと思います。今後、臨済宗の専門道場での禅の修行と、花園大学での仏教、禅学の研究、「行学一体」釣り合って、社会に貢献し、利他の精神の発揚にもつなげて行きたいと思います。日本、中国、台湾の友好と文化交流を促進するため、坐禅会、学術討論会の相互開催などの活動を展開することを希望しています。世界人類の平和福祉を祈願致します。

奨学金を必要とする理由
私が「仏教クラブ」を申請する理由は、援助が不十分なためです。具体的には、私は僧侶として、大学院入学前に約六年間、臨済宗の専門道場で修行しました。平成27年から大学院の勉強に始めました。家族と信者などからの援助(布施)を合わせて、私費で留学しました。大学院では年間180万円以上かかる学費(約80万円)や生活費(下宿代、食事代、雑費、研究のテキスト、資料代など約100万円)をまかなうことができないため、大変厳しい状況です。大きな出費になりますので安心して学業に専念するために、できれば「仏教クラブ」の支援を受けたいと思い応募いたしました。

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2017年4月11日付けで、林 芬妙 さんより、奨学金のお礼と、近況報告のお手紙をいただきました。

林さん活動報告のサムネイル

その後の林さんの活動報告PDFファイルDL

佛教大学:楊 若薇

佛教大学:楊 若薇

■申請者名   楊 若薇   

・国籍  中国

・年齢: ?歳

■所属
佛教大学 仏教学部 4回生

推薦理由および推薦者(所属・氏名)
未記入

推薦人:佛教大学

現在の研究・勉学の内容および目的

私は佛教大学仏教学部に在学し、現在は主に初期仏教の縁起思想について勉強している。縁起に関して、一番広く知られているのが十二支縁起説であるが、十二支縁起は後世になってから体系化された形であることは早くから指摘されている。
最も成立が早く、現存する一番古い仏教文献と言われる『スッタニパータ』は初期の仏教の姿を伝えている。私は『スッタニパータ』を用いて縁起思想の萌芽と発展について考察し、将来の更なる研究のための基礎を築きたい。

将来の抱負

大学院に進学し、縁起思想の発展についてより深く研究し、あわせて初期仏教に説かれる修行法について研究していきたいと考えている。
仏教学の研究には、語学能力は欠かせない。しかし私の母国の中国では、日本の研究者のようにサンスクリット語やパーリ語などに精通する学者は少ない。諸語学をしっかり学び、中国でサンスクリット語やパーリ語を学びたい人の手助けをしたい。
将来、仏教学の研究を続け、日中の仏教と文化の交流に貢献したい。

奨学金を必要とする理由
私は私費留学生として経済的に余裕のない状況にあります。加えて、インド仏教、初期仏教の研究に欠かせないサンスクリット語とパーリ語の勉強をしており、とても時間と労力が必要となります。更に普段の勉強時間を加えると、アルバイトと学業の両立は非常に困難であります。学業に更に専念するために、貴クラブ奨学金を希望致します。御支援の程宜しくお願い申し上げます。

龍谷大学:金 衍志

龍谷大学:金 衍志

■申請者氏名    金 衍志  キム ヨンシ゛(KIM YOUNJEE) (女)

・国籍    韓国

・年齢  29歳

■所属
龍谷大学 文学研究科 博士後期課程 仏教学専攻 3回生

推薦理由および推薦者

仏教クラブ奨学金受給者として(申請者) 金 衍志 氏 を推薦いたします。推薦理由韓国からの留学生である金衍志氏は現在、龍谷大学文学研究科博士後期課程(仏教学専攻)に在学し、ボロブドゥール遺跡の研究を行っています。韓国・東国大学では、「仏身説と伽藍配置の関連性に関する研究―統一新羅時代の塔・堂・燈を中心として―」の研究テーマのもと、修士論文を書きました。伽藍配置に仏身論を見て取るというユニークな論考で、統一新羅時代に流通していた論書に注目する視点を提示しました。金氏は博士後期課程では、仏教遺跡の中でも最大級のボロブドゥールに着眼し、ここにいかなる仏教思想が投影されているかを目下のところ研究中です。ボロブドゥールについてはすでに『金剛頂経』との関連が指摘されており、仏伝や華厳思想を取り込んだ密教建造物であるとの見解が一般化していますが、東南アジアにおける密教の弘通という点から詳しく検証されているわけではありません。金氏は現地調査を重視し、ボロブドゥールと同時代の密教関連遺跡を調査して回り、ボロブドゥール研究を一歩押し進めつつあります。研究意欲は並々ならぬものがあり、たいへんスケールの大きな研究となることが見込まれます。金衍志氏をここに推薦する次第です。

推薦人
:龍谷大学文学部教授   入澤 崇

現在の研究・勉学の内容および目的
申請者は、仏教遺跡とその思想との関わりに着目した研究を行ってきた。現在は、インドネシアジャワ島のボロブドゥール遺跡の造営に込められた仏教思想の解読を目的にした研究を行っている。今まで日本や欧米では、様々な経典や仏教思想から本遺跡の成立背景を推測する研究が行われてきたが、定説をみてはいない。しかし、密教や華厳と密接な関係であるということについては見解の一致をみている。博士課程に入学してからは、それまでの基礎資料を作成するとともに、インドネシアを植民地支配していたオランダを含む欧米の報告書や論文を読むことで、ボロブドゥール遺跡の廻廊の浮彫のディテールについての理解を高めた。他にも、高僧の旅行記に登場するジャワの記述を検討するとともに、東南アジアの国々の歴史や仏教遺跡が登場する碑文資料を調査することで、インドネシア周辺の知識を得ることができた。なお、二回にわたって現地に訪れ、ボロブドゥール及び周辺遺跡の実地調査を行った。当年は、ボロブドゥール遺跡の成立背景にある仏教思想の解明に向けて、第一に華厳学と密教学を研究して自身の知見を深めていきたいと考えている。ボロブドゥールの築造前に編纂された『華厳経』に説かれている思想を研究しつつ、浮彫の一部とされている「入法界品」や「普賢行願讃」に特に注目している。密教に関しても『金剛頂経』などボロブドゥールに影響されたと思われる密教経典を参考にすることとあわせて、あまり知られていないジャワ独自の密教経典についての調査を行っている。それから、四方仏とマンダラに関しても研究も行っていく。その後はさらに、比較的研究の進んでいる基壇部から第二廻廊に比べ、まだその解釈があいまいである第三・四廻廊の浮彫や、異見の多い第四廻廊四方の仏像と円形壇の仏像の尊名についての解明を行うつもりである。なお、研究を重ねる後に第三次現地調査を行う予定である。現地調査と文献解読によて、ボロブドゥール遺跡の造営に込められた仏教思想の解明が出来ると考えている。

将来の抱負
申請者の第一の目標としては、現在研究しているテーマ「ボロブドゥール遺跡の思想的背景」で納得出来るような成果を得て、博士学位論文を完成したい。その後も研究を続け、最終的には帰国して一般の人にも仏の教えを分かりやすく伝えられる仏教関係の書籍を出版するのが将来の抱負である。自身の研究内容の発信のみならず、日本での留学経験や日本語能力を活かして、韓国の仏教徒に対して優れた日本の仏教書籍を紹介する予定である。

奨学金を必要とする理由
申請者は現在、日本で勉学している私費留学生として経済的困難に直面している。日本は物価が高く、家賃・交通費・食費など母国での生活の倍以上の費用がかかる。生活費以外に、大学院の学費や研究のためにも相当な費用が必要である。特に、申請者はボロブドゥール遺跡を研究テーマとしているため、毎年自費でインドネシアを訪れ現地調査を行っている。なお、研究関係の資料は海外のものが多いことで、大学の図書館に置いてないものは自費で買うことになる。今まで滞在費用の一部を両親から仕送りしてもらっていたが、この歳になって引き続き援助を要求する事も厳しくなった。週に二三回アルバイトをして生活費の一部を調達しているが十分ではない。しかし、それ以上アルバイトの時間を増やすと研究に影響があるので困っている。研究が日本に留学した第一の目的である以上、それを最優先したいと思っている。仏教クラブの支援が受けられれば、日本での勉学を続けてより深い研究を実現するための、大いに助けとなると思う。以上の理由から仏教クラブ奨学金を申請する次第です。


※撮影・編集 藤野正観 (このページのYoutube動画は、公開にて設定しています。) 

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