仏教関係者が京都に集う会

仏教クラブ奨学金授与者(2010年)

2010年度 仏教クラブ奨学金授与者 発表

(2010年11月12日、仏教クラブ例会、奨学金授与式にて)

写真:仏教クラブ森会長(中央)と受賞者

以下の各氏に各30万円の授与がありました。
各氏が壇場に立ち、会員の前で、各々の研究課題と、お礼の言葉を述べた。


 

梁 肅玄 (雪敏)

大韓民国
生年月日   1966年7月26日(満四十三歳)
所属:花園大学 大学院文学研究科 仏教学専攻 修士二回生
推薦人:花園大学文学部 国際禅学科 教授 中島志郎
推薦理由:

梁肅玄(雪敏)氏は、韓国曹溪宗の比丘尼として厳格な出家生活を送りながら仏教研究に取りくんでいます。現在は『大乗起信論』を中心とした中国仏教の教理学を究めています。温厚な性格ながら、仏教に対する強い求道の意志を持って、仏教者としての長い道のりを着実に歩もうとされています。学問研究もそのような求道の一環ですが、今後も日本で研究を継続する意志を持っています。日本と韓国の仏教相互の緊密な関係の構築のためにも優れた人材となってくれると期待しています。将来に亙る長い研究生活が円満成就できるよう各位の御高賜を願うものです。本学として仏教クラブ奨学金に雪敏氏を推薦いたします。

■現在の研究・勉学の内容および目的

現在、私は大学院修士課程に在学しています。研究テーマは「大乗起信論の修行論」です。
大乗起信論には多くの先行研究の蓄積がありますが、『大乗起信論』の思想的、哲学的研究が中心となっていました。実践修行の観点からの『大乗起信論』の研究はまだ不足しているのではないかと考えております。そこで 『大乗起信論』の実践修行を学問的に究明するべきであると思います。
研究の最終的目標は、『大乗起信論』の修行体系の分析であり、また、そこから発展させて、現代にも通用する修行の体系や方法にも応用できるような『大乗起信論』の修行理論とは何かを考えて見たいと考えています。そこから現代アジア、韓国、日本、中国の仏教における念仏や看話禅の現代的な意味にも研究を展開して、考察したいと考えております。

■将来の抱負
今後、花園大学において博士課程に進学し、学位を取得したいと考えております。卒業した後には韓国へ帰りますが、日本で研究した成果を本にして、韓国仏教の特徴をもった仏教と禅の文化を提案して世界の様々な人々と交流できるよう発信したいと考えております。
最終的な目標は仏教を基盤とした文化、学問等々を提案して世界に仏教文化を発信したいと思います 。特に京都は日本を代表する古都ですから、仏教だけではなくその他さまざまな伝統文化が豊かに存在し、現在も息づいていることに何度も驚かされました。この機会を生かして、建築、茶の湯、絵画、飲食物、お菓子まで日本の古典文化をたくさん学んで、摂取したいという思いでいっぱいです。韓国の仏教文化も21世紀になって新しい段階に入ったという気がしています。仏教は伝統宗教ですが、韓国の新しい時代に歓迎される要素を要請して発信して行く必要があると思っています。その場合、京都で学んだことが非常に大きな役に立つのではないかという気がしています。仏教の学問研究とともに、人々の生活を豊かにできるような文化を育てるヒントを得て帰りたいと思っています。

■奨学金を必要とする理由
私は若輩ながら、韓国では仏画絵師として活動してきました。アメリカや韓国の寺院に安置された作品もあります。現在でも、経済的自活の為、夏休みや冬休みなど韓国に帰国した際には、依頼があると韓国の仏教画を制作して学費の一助としております。しかし、今後は研究に専念するためには時間をさらに確保する必要があります。大乗起信論の研究を充実したものにして完成させるためにも、貴奨学財団様の支援をお願い致したく存じます。御高配のほどお願い申しあげます。


梁 肅玄 (雪敏)合掌
KIM KEONJOON(キム ゴンジュン)<金 建峻>

韓国
生年月日  1977年2月20日(満33歳)
所属:大谷大学 大学院文学研究科博士後期課程仏教学専攻2回生
推薦人:大谷大学学生部長 木越 康

推薦理由:

本学生、韓国東國大学大学院出身の学生で、昨年まで1年間は本学の交換留学生(研究生)として仏教研究を行い、その後さらに研究を進めたいと、博士後期課程(仏教学専攻)へ進学してきたものである。

現在は、仏教の中観派の代表的学僧である清弁の「大乗掌珍論」の空思想について研究を進めている。たいへん真面目に研究を続けており、本学での留学終了後は、アメリカの大学で研究を続け、音には母国 韓国での仏教研究の発展に寄与したい
考えを持っている。

以上、仏教クラブ奨学金受給者として
(申請者) キム ゴンジュン を推薦いたします。

■現在の研究・勉学の内容および目的

インド仏教の中期中観学派の人物であるバーヴィヴェーカ(Bh?viveka, 淸弁, ca. 490-570)の『大乗掌珍論』について研究しています。『大乗掌珍論』は、サンスクリット原本、そしてチベット語訳は現存せず、玄奘によって翻訳された漢訳のみが存在しますが、バーヴィヴェーカの思想と空性論証の特徴がそのまま表現されています。そして、彼は当時のインドの学派、すなわちサーンキヤ(S??khya)学派、ヴァイシェーシカ(Vai?e?ika)学派、そして瑜伽行派などへの批判を通して中観学派としての自らの思想的立場を確かにしています。
私は、『大乗掌珍論』で示されるバーヴィヴェーカの思想的特徴を考察して、彼の他の著作と『大乗掌珍論』との関係を確認して、それを通して、空性論証に仏教論理学を導入して空思想を説明している彼の論理の特徴を明確にして行きたいと思います。

将来の抱負

博士の学位を取得するごとを目ざします。先ずはそのために必要な研究論文を執筆する予定です。日本留学後はアメリカの大学でさらに仏教研究を続け、その後、韓国に帰国して仏教研究の発展に尽して行きたいと思います。日本の大学で学んだことと経験したことを基盤として、韓国で仏教を学んでいる人々に教えながら、日本の仏教学者と交流を続け、両国の仏教研究の発展のために尽力したいです。

奨学金を必要とする理由

私は博士の学位取得を目ざして、研究論文を書くために、サンスクリット語とチベット語のテキストを読みながら研究しています。研究に必要ないくつかの本は持っていますが、その他多くの本を図書館で借りて読んでいます。研究に必要な多くの書籍が高価であるので、奨学金をいただけるのなら研究に必要な本や辞書を購入したいです。
そして日本各地で開催される仏教関連の学会に出席して、仏教学への見聞を広げ、より多くの日本の仏教学者たちと交流することに奨学金を使おうと思います。


ダワードルジ プルブドルジ

男・モンゴル
生年月日 1978年3月7日 (満32歳)
所属:佛教大学 文学研究科 仏教学専攻 修士課程2回生
推薦人: 佛教大学教授 小野田俊蔵

推薦理由:

プルブドルジ君をぜひとも奨学生に御採用願いたく、ここに推薦いたします。
プルブドルジ君は、優秀な資質を持ち合わせ、将来のモンゴル仏教界のみならず、国籍国境を超えて大いに期待出来る人材であると判断されます。モンゴルでは伝統的なモンゴル仏教文化の伝統の保持が関係者の努力によって実を結びつつある現状の中で、その基礎とも言える学問研究としての仏教学の発達が必ずしも他の諸国に比して高いレヴェルとは言えなかったと推薦者は承知しています。そのような状況の中で、プルブドルジ君は学問としての仏教に強い興味を持っており、研究語学であるチベット語読解の力はすでにかなり高いと認められます。また、プルブドルジ君はすべての行動に関して極めて真面目な態度で積極性にも富んでいます。ぜひとも奨学生に御採用願いたくここに推薦いたします。

以上、仏教クラブ奨学金受給者としてダワードルジ・プルブドルジを推薦いたします。

■現在の研究・勉学の内容および目的
1990年、モンゴル国は社会主義時代から市場経済へ移ると、今まで約70年近く禁じられてきた宗教信仰は自由化されると共に、仏教も復活し、多くの若者は出家し仏門に入ったのである。
今、私は佛教大学で仏教を学んでおり、大学院では、現在モンゴル国の国立中央図書館に保管されている、チベット語訳写本大蔵経と、その他のチベット語訳大蔵経との対照作業を行っている。当写本は、国内や海外では、未だに研究されていない。この写本大蔵経は、17世紀に当時のチベット政府いわゆるダライ・ラマ五世によってモンゴル側に送られたと史書に記述されており、チベット語訳写本系の大蔵経の中では、恐らく最も古いものとされている。しかし、これはあくまで推測である為、今回、私は当大蔵経の中から阿弥陀経だけを抜き出し、他のチベット語訳大蔵経と対照した上で、正体を明らかにする事が、修士論文の目的である。

■将来の抱負
現在のモンゴルの多くの若い僧侶は、伝統的教育である家庭教師の元で仏教を学び、また一部のラマ僧はインドやチベットに留学し宗教教育を受けている。   しかし、殆どのラマ僧は、それぞれ各寺の法要に出ながら、宗教行事にも参加されるが、彼らの仏教に関する基礎知識は極めて低いのは、現状である。
彼らには、モンゴル語による仏教に関するテキストや教科書は非常に少ない。僧侶の皆さんは、チベット語によって読経されるが、その経典の中身、つまり内容は理解していない。其故、海外ではなく、国内でも十分な教育を受けられる環境を創っていく必要がある。
日本とモンゴルは同じく大乗仏教の国である故、日本に多くの仏教系の大学があり、また多数の仏教学者や先生方がいらっしゃる。日本では、学問的な仏教を学ぶには大変環境が整っており、私はこの得られた機会を逃さず、懸命に学問に励み、帰国後、両国の仏教界の掛け橋となり、モンゴル仏教界の更なる発展の為、日本で学んだ事全てを生かし、優秀な人材を育てて行きたいと考えている。

■奨学金を必要とする理由
現在、世界中の国々が直面している問題のひとつは、経済の不安定な事である。大勢の若者は母国を離れ、海外での留学生活を送っている。留学生の皆さんは、非常に厳しい状況の中で、それぞれ自分の夢に向かって懸命に日々に努力しているのである。私も同じく私費留学生で、彼らと同じ夢を追い掛けているのである。しかし、物価の高い日本と、また近頃の急速な円高等は、私達のような私費留学生にとっては、非常に大きな打撃となっている。
ですから、私は是非とも仏教クラブの奨学金を受け、これからも研究を奨励して行きたい。


Daniel Wickstrom ( ウィックストローム・ダニエル)

男・アメリカ合衆国
生年月日    1984年3月18日(満26歳)
所属:龍谷大学 大学院文学研究科 仏教学専攻 修2回生
推薦人:龍谷大学文学部教授 淺田正博

推薦理由:

ダニエル君は現在、大学院修士課程2回生に在学しており、1回生の成績は優秀であった。

来年には博士課程に進学を望んでおり、華厳学と真宗学との関連性を追求している。
修了後は行信教校に入学し、真宗学を中心として学び、帰国後は真宗寺院にて伝道活動に従事したいという。
その研究目的が明確であるので、貴奨学生に推薦したい。

以上、仏教クラブ奨学金受給者として(申請者)Daniel Wickstromを推薦します。

 

■現在の研究・勉学の内容および目的
今現在、大学院の修士課程において、中国仏教における華厳宗の発展について研究している。特に、第二祖智儼と第三祖法蔵の教判論を比較しつつも、他宗に対する反論と自宗の成立論として、それ以降の華厳宗に影響を与えた論書を分析する。
智儼は玄奘の「新仏教」と同時代に、唯識教学を乗り越える華厳教学を確立しようとし、最晩年に書いた『孔目章』に詳しく華厳の五教判の初期的な思想を述べている。そして、弟子の法蔵は『五教章』など数多くの文献において「五教十宗」の華厳独特の教判論を大成し、特に如来蔵縁起思想に基づいて法相唯識の教学を批判し、新たに華厳教学を体系付けた。
個人の目的は、教判論を中国仏教の入門として、宗派を確立するための必要条件として教学の成立を述べるから、それを学びながら漢文をマスターしたいと考える。更に、博士課程に入れば、華厳宗に最大の影響を与えた『十地経論』を英語訳したいと考える。
アメリカにおいて初めてお寺に行き、住職と仲良くしながら様々にお世話になった。その出発点から、龍谷大学の大学院を目指して入った。仏教の究極的な立場を知りたくて、出会った住職に相談した上で、仏教の歴史がある日本に学びに来ることになった。その目的を憶いながら、龍谷大学の大学院で研究している。

■将来の抱負
将来の抱負は大学院の後、行信教校という仏教学院に入り、浄土真宗の教師資格を受けて、アメリカに帰ってお寺で布教活動と、仏教の中の重要な文献を英語に訳したいと考えている。浄土真宗に華厳思想は大きな影響を与えているので、大学院の研究を基本とし、更に研究すればもっと浄土真宗の教学を理解できると思われる。
中でも、一般のアメリカ人には「仏教とは何か」を大学院の研究と行信教校に学んだ浄土真宗に基づいて伝えたいと考えている。アメリカで出会った住職と同様に「仏教を学びたい」と思う人に、学問的に実践的に仏教の精神的な価値を教える意図がある。

■奨学金を必要とする理由
私費留学生として奨学金をもらわず、学費などを払うから、大学院で研究しながら三つのアルバイトをしているが、人間の限界を過ぎた気持ちがある。更に、研究に必要な本などを買ったり、日本のお寺における仏教講義或いは法要に行ったりしたいということもある。そのためにアルバイトをせずに、研究に集中できるようになりたい。

PAGETOP
Copyright © 仏教クラブ All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.
Top