仏教関係者が京都に集う会

仏教クラブ奨学金授与者(2015年)

2015年度 仏教クラブ奨学生 発表
今年度の授与者は、以下の各氏に決まりました。(15年8月20日発表)

2015年12月11日の授与式の様子。

2015年度 奨学生のご紹介
ohtani2015

○申請者名  更藏 切主(GENGZANG QIEZHU)(女)
ぐんざん ちじょん

国籍  中国

・年齢:30歳

所属先
大谷大学大学院 文学研究科博士後期課程 国際文化専攻1回生

推薦理由および推薦者(所属・氏名)
グンザンチジョンさんは、母国の大学で日本語を専攻したことがきっかけで、本学大学院修士課程へ留学し、その学びのなかで、さらに佛教について学ぶ必要を感じ、とくに母国のチベット仏教研究への決意を固めました。今春の本学大学院博士課程への入学試験も大変優秀な成績で合格し、現在はチベット仏教最大宗派であるゲルク派の創始者のツォンパカ著『菩提道次第論』を研究しています。先日、面接を行いましたが日本語も堪能で、研究姿勢も真摯であり、温厚な人柄が印象的な方です。
将来的には、仏教の世界平和への可能性を願い、仏教の普及に携わる仕事や研究職に就こうと希望を持っています。博士論文完成の暁には、一人前の仏教研究者として日中のみならず、世界の仏教者との国際交流の中心になっていただけると確信しています。なお経済的には、学業を優先し、家族の支援を頼って生活費などをまかなってこられました。博士課程は、より研究のための支出があり、奨学金が是非必要と考えます。以上の理由からグンザンチジョンさんを貴奨学金対象者として推薦させていただきます。宜しくお願い申し上げます。

推薦人:大谷大学 学生部長  福島栄寿

現在の研究・勉学の内容および目的
私の研究対象は、現在、仏教研究においても注目され、インド大乗仏教を理解するための重要な手掛かりとなっているチベット仏教についてです。13世紀からインドにおいては仏教が衰退し、その跡を絶つことになりましたが、チベットではインドの仏教僧などを招くことによって、インド仏教の教えを直接受け継ぎ、その伝統を今日まで守ってきています。そのため、チベット仏教研究は仏教の研究において重要な位置を占めています。こういったチベット仏教に対する関心が高まりつつある状況の下で、私は、チベット仏教最大宗派・ゲルク派の創始者ツォンカパの『菩提道次第論』を研究対象とし、その系譜を明らかにしたいと思っています。『菩提道次第論』は、仏陀の悟りを得るために辿る修行の道を明らかにするもので、この修行の階梯が「ラムリム(悟りへの道の階梯)」と呼ばれています。これはインドから招かれたアティシャの『菩提道灯論』が元になって発展したものです。アティシャ以来、ラムリム思想はチベット仏教の主流をなし、その重要な思想的基盤要素となっています。しかし、両作の間には300年以上の隔たりがあるため、その間にラムリム思想がどのように伝わり、発展したかは不明な問題です。この問題を、ラムリムの系譜やアティシャ以降ツォンカパ以前のラムリム思想を述べた文献を検討することによって明らかにしていきたいと考えています。

将来の抱負
仏教の教えというのは心の平和を目指すものであり、社会の平和を求めるものでもあります。グローバル社会が急速に進みつつある21世紀は、人々の暮らしに様々な情報をもたらし、異文化を体験するいい時代でもありながら、その一方では、世界の各地で争いや敵対する事件もよく起こっています。経済の発展が社会の基準としている時代に生きていく人々にとって最も重要なのは心の平和だと思っています。心の平和は社会に平和をもたらす前提の条件であり、この条件を明らかにすることが仏教を研究する最も重要な課題であると考えています。特に、ラムリムの思想は、心の修養の方法として非常に有効なものであると考えられます。そのため、現在の研究を完成して、将来、仏教に対する人々の関心や意識、また、その研究をもっと高めていけるところで活躍していきたいと思っています。

奨学金を必要とする理由
2014年は、大谷大学の研修員として研究を行いましたが、在留資格は「文化活動」であったため、アルバイトをすることが出来ず家族の支援に頼って過ごしてきました。日本は中国と比べて物価が高く、食費や交通費も大きな負担となり、引き続き家族の支援だけに頼って生活すれば、実家の家計を圧迫することになります。一方自分で賄うことになると、勉強に影響を与えてくると予想しています。特に、博士後期課程は修士課程と比べ、研究を進めるために時間と研究費が非常にかかります。また、学会などで研究発表を行うと、さらに出費が嵩みます。折角日本へ留学できたこのチャンスを生かして、自分の研究を進め、学業において満足できる業績を上げるため、貴クラブの奨学金に申請させていただきました。

hanazono2015

■ 申請者名  李 忠煥(法長)(男)

国 籍:  韓国

・年齢: 35歳

所属
花園大学大学院 仏教学専攻 博士後期課程

推薦理由および推薦者
申請者 李忠煥(僧名:法長)は、韓国の海印寺より遣わされた留学僧です。僧侶としても研究者としても、非常に真面目であり、かつ朗らかな性格で、何事にも積極的に真摯に取り組む姿勢には好感と感銘を覚えます。また、留学中に一定の成果を上げれば、帰国後は母国の海印寺僧伽大学に於いて指導的立場に就くことが期待されています。日本語能力も高く、将来的に日韓仏教交流の架け橋として存分に働いてくれるに違いありません。
貴仏教クラブ様の諸大徳よりご法愛を賜ることが出来ましたなら、誠に幸甚に存じ上げます。奨学金申請に当たり、如上の理由を以って強く推薦させて頂く次第でございます。何卒宜しくお願い申し上げます。

推薦人:花園大学大学院 仏教学専攻主任  吉田叡禮

現在の研究・勉学の内容および目的
現在、『梵網経』の註釈形態の変遷について研究しております。『梵網経』は、東アジア仏教において最も重要な菩薩戒経典です。その註釈の内容は智顗から法蔵を経てより一層大乗的に発展します。しかし、智顗と法蔵との間には、註釈法や戒体論などにおいて相違があります。申請者はこの相違について新羅元暁の影響から把握する研究をしております。元暁は、彼の思想の特徴と目すべき一心思想と和諍思想を通じて、『梵網経』における三聚浄戒の実践と一切衆生悉有仏性などの大乗的性格を宣揚しました。このような元暁の註釈は、大乗仏教の菩薩行を代表する理念になります。現在の研究は、元暁の註釈を智顗・法蔵・太賢などの註釈と比較し、相互の関係性を明らかにし、東アジア仏教における『梵網経』の位置づけとこれに対する註釈の変遷史を把握しようとするものです。

将来の抱負
私は、日本における修学の後、韓国の仏教僧団で僧侶たちの基本教育をしたいと希望しております。具体的には、私の出身僧堂である「海印寺僧伽大学」で、後進の僧侶たちに正しい僧伽の規則や僧侶としての姿勢などを教えたいと存じます。そして、彼らをより広い学問の世界に導き、沢山の僧侶たちが日本をはじめとして世界各地で多様な仏教と出会うことができるように尽力したいと思います。
現在は大乗菩薩戒を中心に研究をしておりますが、今後は律蔵の研究も行い、仏教全般の戒律を学び、現代における仏教僧団内部の問題などについて仏教の規則に基づきつつ現代的解釈を通して解決できる道を探したいと考えております。

奨学金を必要とする理由
韓国仏教僧団は僧侶個人の財産を認めないので、僧侶として海外で勉強や修行をするのがかなり大変です。しかし、学業において大きな抱負と夢があるので止めることはできません。現在の研究は、未来の自分自身のみならず、多くの僧侶たちににとって重要な手引きになると確信しております。現在は微力ですが、皆様からのご支援とご法愛によって、一層研究に集中し、良い結果につなげたいと思います。どうか宜しくお願い申し上げます。

bukkyo2015

■申請者名   李 先才譲   (男)
リ シャンツェラン

・国籍  中国

・年齢: 26 歳

■所属
佛教大学文学研究科仏教学専攻修士1回生

推薦理由および推薦者(所属・氏名)
申請者自身も絵画の訓練を受けた絵師でもある。チベット絵画が中国絵画やネパール美術の影響を受けながら発展展開してきた歴史を単に歴史的展開や仏教諸派の協議との関連のみならず、絵画技法や地域性との関連の中で考察することは有意義な研究と思われる。研究の要点は、本国で学習する機会を持たなかった仏教教義史全般の知識やチベット仏教全体の歴史、そして仏教絵画史と社会史との関連についての知識である。本国では学習が困難な仏教を学びたいと語る申請者にぜひともご助力賜りますようお願いします。

推薦人:文学研究科 仏教学専攻 指導教授 小野田俊蔵

現在の研究・勉学の内容および目的

私は、中国?青海民族大学の芸術学部で仏画の描き方の基礎を身に付けました。今後は仏教美術全般への幅の広がりと仏教学的な専門性へ向けて研究を進めたいので、これまでの勉強を活かし、佛教大学の仏教学専攻でチベット仏教絵画の歴史的発展とその特徴を研究課題としました。メンラトゥントゥプという絵師が創始したメンタン画派の発展とその特徴を研究の中心内容にして進めています。
将来、私は仏画とその理論についての研究者及び教育者になりたいと願っています。仏教絵画の理論として、仏教経典に基づくことが一番大切ですので、様々な経典を読むためにいくつかの研究言語を分かっておく必要があります。漢文とサンスクリット語の経論典も読めるようにしたいと思います。研究資料としては、デイウィッド・ジャクソン(David Jackson)が著作した『チベット絵画の歴史』の資料として使われたチベット語の原典資料を再検証して、メンタン画派の発展とその特徴についての研究を進めています。

将来の抱負

将来、私は仏画とその理論についての研究者及び教育者になりたいと願っています。現代のチベットでは仏教は普及していますが、仏教絵画の学習は単なる美術的な学問になっています。仏教思想を欠いた仏教絵画は霊魂のない遺体のように、発展することもなく、美術的な意味もなくなると思います。仏教絵画は仏教思想に基づくことが一番大切であると考えています。
私は、青海民族大学の芸術学部で学びましたが、そこでは理論として芸術概論や中国美術史、西方美術史などしか勉強できず、仏教絵画の理論として教える学科もありませんでした。この悩みを解決するには、博士号を持つ仏教学者になるしかないと思うようになりました。それで、日本へ留学し、大学院に進学して、チベットにおける仏教絵画の思想をさらに深化させようと決心し、卒業後に帰国して仏画を専門として学んでいる学生たちに仏画の作品の背後に隠された歴史文化や、作品に込められた仏教思想、仏教文化などを読み解いて説明できるようになればいいなと思っています。

奨学金を必要とする理由
私は中国のチベットから参りました,両親は農民で一年間の収入は5万元ぐらいしかありません、留学する際に両親の貯金と親戚から助けてもらってやっと日本に来ることができました、毎年お願いすることはすごく大変です。自分も勉強しながら週末の1日も休まないでバイトしていますが、これから、研究が忙しくなり、チベット仏教絵画について研究するのは日本に留学する第一の目的であるから、もっと時間をかけて勉強しないといけません。それで、研究の時間を作る為に奨学金を必要としています。

ryukoku2015

■申請者氏名   ギシン ウマ ラマ (女)

・国籍    ネパール

・年齢  34歳

■所属
龍谷大学 文学部 真宗学科 4回生

推薦理由および推薦者

ギシン・ウマラマさんはネパール出身で、2004年度4月より龍谷大学文学部(真宗学科)の3年次に編入学し、現在「ネパールにおける浄土真宗を通した仏教教育の可能性」をテーマとした卒業論文を完成させる予定です。
ギシンさんは、2006年に設立された、ネパール開教地カトマンズ本願寺の設立当初からスタッフとして働かれる中で、住職のソナム・ワンディ・ブティヤ師の指導で浄土真宗の教えを学び、また日本では浄土真宗本願寺派中央仏教学院で2年間学び、2010年9月には本願寺派教師を授けられました。外国語能力は、日本語だけでなく、英語にも堪能で、また伝道者としてすでに国内外で日本語・英語による法話もされています。
また2014年度は、夏期にイギリスで開催されたヨーロッパ真宗者会議に参加し、英語でネパ?ルの仏教の現状と現地での浄土真宗の実践活動についての学術発表をするなど、研究活動の場を海外にも広げています。
ギシンさんの研究姿勢は、ネパールだけにとどまらず、多様化していく世界の中での浄土真宗の可能性を考えるという新しい視点を持っており、アジアの宗教文化の視点から日本の仏教文化を見直そうという彼女のユニークな試みは、日本の仏教文化の国際化への貢献という面でも大きな期待がもたれています。
将来は、ネパールに戻り、カトマンズ本願寺の僧侶として、浄土真宗の布教伝道に携わり、浄土真宗の教えを通して、日本とネパールの交流に貢献することを希望しておりますが、そのためにも、さらに専門的に仏教の研究することが必要であると感じております。また今年2015年4月25日に発生しました大震災後、物質的な面での復興もようやく始まりつつありますが、ギシンさんは、ネパール社会における心の伝統の復興という点では、長期的ビジョンを持って、仏教思想にもとづく宗教的な教育者を育成することこそが必要であると感じており、その実現のためにも日本で研究を継続することを希望しています。このようなギシン・ウマラマさんの願いを実現するためにも、仏教クラブ奨学金に相応しい人物であると認めここに推薦いたします。

推薦人
:龍谷大学 文学部 真宗学科 教授 那須 英勝

現在の研究・勉学の内容および目的
現代のネパールの主要な宗教はヒンズー教と仏教であり、ネパールではこの二つの宗教的伝統が切り離せない関係にある。例えばヒンズー教の立場では、仏教はその一部として信じられており、ヒンズー教の神と釈尊は同様なものとして信仰されている。しかし、その一方で宗教の多様化も次第に進んでおり、様々な宗教のグループが存在しているが、統計上では、現在、人口の80%がヒンズー教徒、10%が仏教徒、残りの4%がイスラム教、キリスト教などを信仰していると考えられている。
しかし、近年は、チベット仏教の僧侶を中心としたグループが、主として外国人の訪問者を対象にした仏教のセミナーを、ネパールで活発に開いており、特にヨーロッパ系の外国人に取って、ネパールは仏教を学ぶために重要な場所となりつつある。これに対して、地元ネパールの人々は、仏教について特別な関心を持つ人は少なく、その教義について理解しようとする人々はほとんどないのが現状である。その原因のひとつは、観光で訪れる外国人ではなく、ネパールの人々自身が仏教に触れる機会を得る場がほとんどないからである。
現在、私は浄土真宗本願寺派の寺院として設立されたカトマンズ本願寺に所属しているが、そこでは、宗教的な行事だけでなく、社会福祉や教育の活動と並行して伝道が行われ、またそのような活動を通して、ネパールの人々のコミュニティーの中での、人的なネットワークを通して真宗の教えが、人と人の間で伝えられつつある。しかし仏教思想の基本的な理解にとどまらず、より専門的な教義について、宗教的な伝道だけでなく、教義の体系的な理解を可能とする教育活動の発展が必要であると考える。
浄土真宗の理解については、特に、親鸞の「他力思想」や浄土真宗の「名号」についての解釈も、「自力的」な色合いの強いチベット仏教の教えが中心である、ネパールの仏教徒の間ではほとんど知られていない。またネパールでは土着の民俗的宗教への信仰も根強ものがある。しかし、そのような宗教文化的環境において、既存の信仰を単に否定的に見るのではなく、しかも浄土真宗の教えを通して新たな仏教的視野が開けることを、ネパールの人々に伝えることが出来るようになるのか、親鸞の思想の理解を深めると同時に、その教育的方法の展開の可能性について学びを深めていきたい。

将来の抱負
龍谷大学文学部を卒業後は、同大学の大学院、文学研究科(真宗学専攻)に進学を希望している。その理由は、これまで学んで来た真宗の教えをさらに、学問的な研究として理解深め、それを現代のネパールにおいて、どのように活用できるか、そのさらなる可能性を探りたいからである。現在、ネパールは、本年4月25日に発生した大震災により、多くの人々が苦境の中で生きている。これからのネパールの未来をもう一度立て直すためには、物質的な復興と同時に、これからの未来を作っていく子供達の教育に力を注ぐ必要があるが、私は、心の伝統を深める宗教教育の実践を、仏教の思想、とくに親鸞の思想を深く学ぶことを通して、展開していくことを目指したい。具体的にはカトマンズ本願寺で行われている教育活動をさらに発展させて、浄土真宗の教えを通して、人間として一番大切な心の教育を可能にする学校を創設したいと考えている。

奨学金を必要とする理由
現在、カトマンズ本願寺を休職し、私費留学生として勉強を続けております。しかし、今年四月に発生したネパール大震災の影響で、これまで通りの学費と生活費の支援を受けることが困難となりつつあります。このような大変不安定な状況下にある中で、もし貴奨学金を頂くことができれば、現在の学業を完成させ、来年度に大学院への進学するための準備に専念することも可能となります。仏教クラブ様からのご援助を賜われますよう、ご一考の程、なにとぞよろしくお願い申し上げます。


※撮影・編集 藤野正観 (このページのYoutube動画は、公開にて設定しています。) 

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